駐妻妊婦の話  ~切ってください~

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いよいよ「駐妻妊婦の話」も佳境に入ってきました。
長い長い昔話にお付き合いくださっている、サスカloverのみなさん、こんにちは。

えぇ、もうすぐですよ。
もうちょと我慢したら、うちの子も生まれて、元のまじめなブログに戻る予定ですので、もうしばらくお付き合いください。
これでも、だいぶはしょって書いてるつもりなんですが、あまりにも印象的というか、普通でないというか、そもそも海外で英語もしゃべれないのに出産とか、普通にあり得ないって自分でも思います。
だけど、旦那が転勤になっちゃったんだから、しょうがない。やるって決めた以上、逃げたら女がすたる。

まぁ、そんな私が体験した出産の記録も、もしかしたらどっかの誰かの、参考になるかもしれないじゃないですか。
「あ~こんなひどい目にあったんだ」でも、「うわ~それでも何とかなっちゃうのね」でもいいんです。
出産って普通に不安なことだらけですよね。それでも必ず赤ちゃんを授かったら、出す日が来るわけで、出す作業自体はどんなに時間がかかっても、いつかは終わるんです。永遠には続かない。
頑張りましょう、「それでも日はのぼる」ですよ。(意味不明)

さぁ、病院に着きました。
入口はERです。
そう、出産の場合は救急の窓口から病院に入ります。それは昼間も夜も24時間変わりません。
一番最初に行ったときは、出産じゃなくて子宮口のチェック~のつもりだったので、普通に駐車場から歩いて病棟まで行きましたけどね。
ERの玄関にはバレットパーキングがあって、車の鍵を係の人に渡すと車を駐車場に入れてくれます。
本人たちはそのまま中へ、受付を済ませると車いす(私たちが知っている車いすの2倍のサイズ)に乗せられ、産科棟から迎えがやってきます。
もう、VIPってこういうことなのね!!?という対応。
それはそれは大切に運んでいただけます。
行く先々のドアが、まるで魔法のように次々開いていく感じでした。

そして、昨日とは違う部屋へ通されて、またあのガウンに着替えます。
ベッドに横になり、さまざまな機械を付けられて、担当のナースがやってきました。
そして、またあの質問が繰り返されたのです。
同じように、三者通話でたった12時間前に答えた同じ質問を陣痛で息も絶え絶えの私にダラダラと聞くナース。
このナースが来てから、担当の医師が顔を出すまでの数時間は、正直ひどい時間でしたが詳しく書くのはあえてやめておきます。
いろいろあるんですよ。これが私の初出産、第一の悪夢です。
誰も私と同じような目にあいませんように、そして英語ができないにもほどがあるって人は、英語ができる気が強めの誰かに付き添ってもらうか、しっかり事前にリサーチして、強い心と態度でNOということを覚えておいてください。(特に旦那さん)

さて、ようやく尋問も終わり痛みは頂点、陣痛の感覚も随分と狭まりぐったりしていたところに、救いの船がやってきました。
麻酔科医です。
アメリカは無痛分娩が主流で、私も無痛分娩を選択しました。
そうそう、陣痛の痛みは鼻からスイカって日本では言うんだよと現地の両親学級の時に話したら、大うけしましたよ。

ちなみに、この麻酔科医が第二の悪夢でした。
無痛分娩は脊髄にエピドラルという注射をして、下半身を麻痺させるんですが、この注射が人によって痛いとか痛くないとかいうわけです。
たぶん、麻酔科医の腕次第なんでしょうねぇ・・・。

私の麻酔科医はハズレでした。
日本刀があるでしょう?よく暴れん坊将軍が、カチャって刀を返してみねうちしますよね。
あの、カチャって刃を上にした日本刀を腰よりちょっと上にグサッと刺して、グリグリグリっと押し込まれた気分って言ったら分かりますか?
陣痛の痛みに耐えてやっとの思いでベッドに座り、両腕を組んで動くなと言われ、前から大きなナースがさらに私をがっちり抱き込んで、全身で固定しているところへ、この仕打ちですよ。

なのに、麻酔科医は「次の陣痛が最後だよ~ん」みたいなことを言っているわけです。
実際、本当にそうだったんですが・・・。

まぁ、この出産で一番の痛みはまさにこれでしたね。
すっかり燃え尽きて廃人のような気分になった私ですが、陣痛は嘘のようになくなりベッドに寝かされてようやくうとうとし始めました。
嫌なナースもいつのまにかいなくなり、刀の麻酔科医もどこかに行きました。
病室は電気を消して、機械のアラーム音だけが鳴り響いていました。

そう、アラームが鳴りまくったんです。
人工破水して、促進剤も入れ、陣痛も(もう感じませんが)すごい勢いで来ていたのに、子宮口がなかなか開かず、胎児の心拍が急激に落ちたり、私の血圧も乱高下。右を向いたり左を向いたり、ベッドの傾きを調整して頭を下げたり、1度などはアラームが鳴ったすぐ後に、注射針を構えて走ってきたナースに有無も言わせず、消毒もされずぶすっと何かを注射されたりもしました。(おそらく強心剤)

麻酔の副作用で、ものすごい寒気で震えまくっていた私は、機械の吐き出すグラフなど見ることもできず、旦那が一人密かにグラフとアラームに恐怖していたことに気が付きませんでした。
けっこう、大変な状態だったようだと後で聞きましたが、お昼頃様子を見に来た先生に、そろそろ自然分娩と帝王切開の安全率が逆転しますよと言われました。
タイムリミットは午後3時。それまでに子宮口が開かなかったときは、Cセクションに切り替えていいですか?と。

力強い声で「イエス プリーズ」と答える旦那。

え~~~!!? 切られる人の意見は?それ私が決めるんじゃないの?!!

針を刺すのも、腹を切るのもあんたじゃないでしょうが!!と突っ込みたい私。

難しい判断を嫁にさせて、万が一の時に嫁が自分を責めて苦しむくらいなら、全責任は俺が取る、恨むなら俺を恨めという、男前の旦那。

微妙に、違わないか?と思いつつも、他に選択肢があるわけでもなく、いつも通り諦めの境地で「ひらけ~、ひらけ~」と祈る私でありました。

そしていよいよ午後3時ちょうど。
すでに切る気満々の術着姿でドクターから、もはや自然分娩はリスクでしかないと宣告され、急に周りが騒がしくなりました。
私の頭の中では、ドリフの場面転換時の音楽が大音量鳴り響きます。

もうこうなったらしょうがない・・・。

切ってください。

さぁ、いよいよ次回、緊急帝王切開(Cセクション)です。

たぶん、きっとカナダの出産も似た感じだと思いますよ。
サスカには3つ大きな病院があって、産むときはやっぱりそこに行くそうです。
主に大学病院が多いそうですが、チルドレンズホスピタルも建設中だし、きっとこの話も多少参考になるんじゃないですかね?

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